市場トレンド

NVIDIA急落でAI銘柄売り広がる、米国市場は1カ月ぶりの大幅下落

NVIDIA株の急落をきっかけにAI関連株の幅広い売りが発生し、米国市場は1カ月ぶりの大幅下落を記録。FRB利下げの不透明感、セクター・ローテーション、雇用統計の弱さが投資家の警戒感を強めた。

Marcus Thorne
Marcus Thorne
チーフ・マーケット・ストラテジスト
NVIDIA急落でAI銘柄売り広がる、米国市場は1カ月ぶりの大幅下落

米国株式市場は11月14日、NVIDIA(NVDA-US)などのAI関連大型株を中心とした幅広い売りにより、1カ月以上ぶりの大幅な一日下落を記録した。投資家心理は米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げペースが鈍化する可能性への懸念から急激に慎重化し、インフレと労働市場の回復力への不安が再燃した。

主要指数が軒並み下落

S&P500種株価指数は1.66%下落し6,737.49ドルナスダック総合指数は2.29%下落し22,870.36ドルダウ工業株30種平均は1.65%下落し47,457.22ドルと、主要3指数はいずれも1カ月以上ぶりの大幅な一日下落を記録し、投資家心理の脆弱さを浮き彫りにした。

FRB政策の不透明感が心理を圧迫

43日間に及ぶ政府機関閉鎖が終了したことで、市場の焦点は金融政策に戻っている。複数のFRB高官が粘着性の高いインフレ堅調な労働市場を理由に、追加利下げに対して慎重姿勢を示している。

CME FedWatchツールによると、12月に25ベーシスポイント利下げする確率は47%まで低下し、1週間前の70%から大幅に下落した。資産運用会社は関税に起因する物価上昇圧力が一時的なものではない可能性を指摘し、FRBの今後の政策判断を複雑化させていると警告している。

AI関連株が下落を主導

過去1年間で急騰してきたAI関連株で調整が最も顕著となった。

  • NVIDIA(NVDA-US): -3.6%

  • Tesla(TSLA-US): -6.6%

  • Broadcom(AVGO-US): -4.3%

アナリストは、AIセクターの株価評価が過度に高まっていたため、今回の売りは技術的な調整と資金のローテーションであり、根本的な崩壊ではないと指摘している。

セクター・ローテーションが発生

S&P500の主要11セクターのうち9セクターが下落し、消費財株は2.73%下落情報技術株は2.37%下落した。一方で明確なディフェンシブ資産への資金シフトも見られ、S&P500バリュー指数は今週1%上昇したのに対し、グロース指数は0.6%下落した。

この動きは、投資家が高成長のテクノロジー株からより安定したバリュー株へ資金を再配分していることを示しており、警戒感の高まりを反映している。

労働市場の弱さが圧力に

新たなデータが労働市場への懸念を強めた。ADPによると、民間企業は10月に週平均11,000人の雇用を削減し、Indeed Hiring Labは小売業の求人件数が前年同期比16%減少したと指摘した。

弱い雇用指標は悲観ムードに拍車をかけ、S&P500では下落銘柄数が上昇銘柄数を2.8対1で上回った。主要3指数の出来高は208億株に達し、20日移動平均を上回り、活発なポートフォリオの再構築が行われたことを示唆している。

市場の見通し

米国株式市場の急落は、AI主導の楽観論マクロ経済の逆風との不安定なバランスを浮き彫りにした。NVIDIAの急落がセクター全体の調整を引き起こした一方、FRB政策の不透明感と労働市場の弱さが投資家の慎重姿勢を深めている。

現時点では、1年間の急騰後の健全な調整と見られる。しかし、利下げ期待の変化と経済指標の軟化を背景に、年末に向けて市場は変動が続く可能性がある。

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